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都市ガス物件とプロパンガス物件、引っ越すならどっち?
こんにちは、GASUMOです。
今回は「プロパンガス」と「都市ガス」の違いについて解説しますね。

気になる賃貸物件が見つかり、ひとつは「都市ガス」で、もう一方は「プロパンガス」なのですが、プロパンガスと都市ガスの違いは何でしょうか?
また、どちらのアパートを選んだ方がいいでしょうか?
このような悩みを抱えている方がいらっしゃいます。
部屋のクオリティとか、駅からの距離であるとか、そういった面では2つの物件にそれほど差はない。だからどっちを選ぼうか迷ってるんだけど、家賃的には都市ガス物件の方が高い設定になっているし、プロパンは高いと聞くから、どうしたものかと。
まず、入居前にこの疑問が出るだけ素晴らしいとわたしは思います。なぜなら実際に住んでみてから、暮らし始めてから、その「違い」に驚く方が大半だからです。
ですから、まだ部屋を探している段階、契約する前の段階でこの記事にたどり着いたあなたはラッキーです。入居してから嫌な思いをすることがないので。
プロパンガスと都市ガスの違い(成分や熱量など)
一応はじめにさらっとだけ触れておきますと、都市ガスは天然ガスでメタンが主成分となっています。いっぽうプロパンガスは液化石油ガスといいまして、プロパンやブタンが主成分です。
また、都市ガスは気化したものが導管ネットワークで供給されるのに対し、プロパンガスは冷却して液体に圧縮したものをボンベに詰めて利用します。熱量については、都市ガスが1m³あたり約11,000kcalなのに対し、プロパンガスは1m³あたり約24,000kcal。なのでプロパンガスの方が約2.2倍高いといえます。
なのですが、
あなたが知りたい「プロパンガスと都市ガスの違い」って、こういうことじゃないですよね。
ぶっちゃけ、どっちの方がお得なの? ってことですよね。
なので先に結論からお話しますと、ガス代で比較するのであれば、都市ガスの方が圧倒的に安いです。とくに賃貸物件の場合。
プロパンガスと都市ガスの料金の違い(賃貸アパート)
まず、都市ガスとくらべてプロパンガスは基本料金が高いです。物件ごとにまちまちですが、アパートなどの賃貸物件だと2,000円前後の設定が多いですね。
そして単価、こちらは プロパンガスの料金相場ページ を参照していただくと分かるように、450円から高い地域だと600円を超えてきます。さらにこれは戸建も含めたデータですから、アパートなどの賃貸物件だけで見ればもっと高いわけで、単価500円、600円の料金設定はざらだといえます。つまり「非常に高い」。
ざっくりとですが、都市ガスよりプロパンガスの方がトータル料金が2倍くらい高くなると考えておけば、さほど驚かないで済みます。
関連ページ:なぜ賃貸アパートのプロパンガス料金は高いのか?
都市ガスの料金と比べてみよう
東京ガスの料金と比較してみるとよく分かります。
都市ガス(東京ガス)を20m³使用したとすると、基本料金が745円で、基準単位料金を142円とすれば、ガス代は3,585円ということなります。
これに対してプロパンガスはというと、熱量が都市ガスの2.2倍あるので、使用量は都市ガスの20m³に対して、9.1m³ほどで済むことになります。さらに基本料金を2,000円、従量単価を550円として計算すると、ガス代は7,005円となります。
基本料金 | 使用量 | 単価 | ガス料金 | |
都市ガス | 745 | 20 | 142 | 3,585円 |
プロパンガス | 2,000 | 9.1 | 550 | 7,005円 |
都市ガスで月3千円なら、プロパンだと月6千円くらいに
プロパンガス料金は、都市ガス料金のおよそ2倍。
なのでいま現在都市ガスのアパートに住んでいて、月々のガス代が3千円くらいだとしたら、プロパンガスの物件に引っ越したら、倍の6千円くらいになる可能性が高い。ということがわかります。
あくまでもザックリ計算ではありますが、このくらいで考えておけば間違いはないです。
すると、このままシンプルに考えるとです。この例でいえば都市ガスとプロパンガスで月々3,000円の違いが出るわけで、単純計算すると年間で36,000円ほど、プロパンガスのアパートの方がガス代が高くなるといえます。2年で72,000円。
このガス料金の差をどう考えるか? というのがひとつのポイントになります。
都市ガスは公共料金、プロパンガスは自由料金
ここまで、都市ガスとプロパンガスの料金の違いに着目してきました。
そして両者を比較すると、プロパンガスの方が約2倍ほど、ガス代が高くなる可能性が高いということもお伝えしました。
さらにもうひとつだけ付け加えておくと、
ここがもっとも根本的なところではあるのですが、プロパンガスと都市ガスには絶対に外せない、一番決定的な違いがあるんです。それが、
都市ガス:公共料金
プロパンガス:自由料金
という違いです。
こうして文字だけ見ると、だからなに? と感じるかもしれませんが、これは強烈な違いです。都市ガスは公共料金なので「一律料金」です。利用者はみんな、同じ値段でガスを使っています。
いっぽうのプロパンガスはというと「自由料金」なので、ガス会社が自分たちの好きな価格でガスを販売しています。ですからガス屋さんごとに料金が違いますし、もっというと同じガス会社でもAさんのお宅と、Bさんのお宅で料金が違うこともざらにあります。さらにいうと、
賃貸アパートではガス会社を選べません。
これが決定的な事実です。
ガス屋さんが自由に販売価格を決めているのに、アパートの入居者はガス会社を選べない。
ヤバイですよね?
一番の問題は「ガス会社を選べない」こと
先ほどの例では、プロパンガスの基本料金を2,000円、従量単価を550円と仮定しました。
これでも都市ガスと比較すると、2倍くらいガス代が高くなったわけですが、もっと怖いのは、あなたが暮らすことになったアパートのガス屋さんがたとえば、「来月から単価を550円→600円に値上げします」といってきたとして、入居者であるあなたには、ぶっちゃけどうすることもできない、ということなんですね。つまり、
「自由料金であるプロパンガスを、ガス会社の言い値(売りたい値段)で買うしかない」
というのが一番の問題なんです。
原料がちがうだとか、供給方法がちがうだとか、空気より重いとか軽いとかありますが、なによりここが、賃貸物件における都市ガスとプロパンガスの一番の違いといえるでしょう。
プロパン物件のガス料金は、ガス会社の言い値。
なんだか嫌な気持ちになってしまったかも知れませんが、入居前にこの事実を知ることができたあなたはラッキーです。都市ガス物件にするか、プロパン物件にするか、しっかり選択できますからね。
強調しておきたいのは、プロパンガスだから悪いってわけじゃないんです。戸建だったら安いガス会社に変更すればいいのですから。
ただ、「プロパンガス」×「賃貸物件」というコラボになってしまうとどうしようもない。
入居者はガス会社の選択権もなく、かつ言い値で買うしかないという、非常に弱い立場になってしまうのです。
ガスコンロの違い
あともうひとつありました、ガスコンロの違いですね。
たまにビルトインコンロというお部屋もありますが、アパートなどの賃貸物件ですとほとんどが「ガスコンロは自分で用意する」ということになっているかと思います。
そのときのガスコンロですが、見た目は変わらなくても「都市ガス用」と「プロパンガス用」では違います。
どっちにも使えたら便利なのにーと思うかもしれませんが、残念ながらそういう訳にはいかないんですね。
ですから見た目に違いが無いからといって、プロパンガスの物件で使っていたコンロを都市ガスの物件で使うことはできませんし、その逆も不可能です。
いや、厳密にいうと完全に不可能ではなくて、たとえばプロパンガスの物件で使っていたガスコンロを都市ガス用に改造することは可能です。
可能なんですが、改造するのに1~2万円程度の費用がかかります。
なので「だったら買い替えちゃった方が早い」ということになってしまうわけですね。
ということで、都市ガス物件とプロパンガス物件でガスコンロの使い回しはできませんので、気をつけましょう。
まとめ
さて、
かたや主成分はメタンで、もう一方はプロパンだとか、熱量がちがうとか、気化したものを導管で供給するのに対して、圧縮したものをボンベに詰めて配送するとか、空気より重いとか軽いとか…。都市ガスとプロパンガスにはさまざまな「違い」があるわけですが、
わたしたち消費者にとってもっとも気になるのは、やはり「料金の違い」ですよね。
こっちを選んだらどのくらい高くなるのか? 逆にもういっぽうを選んだらどのくらい安くなるのか? そういうことです。
で、プロパンガスの方が都市ガスよりも料金が高い傾向があり、ざっくりとした試算では、およそ2倍くらい高くなってしまう可能性があることをお伝えしました。
さらにアパートなどの賃貸物件においては、原則「ガス会社の変更ができない」。
ここが最大の問題でしたね。
プロパンガスは、ガス会社が自由に価格設定している自由料金の商品です。であるにもかかわらず、アパートの入居者は自分たちが使用するガス会社を選ぶことができない。
という矛盾を抱えています。
つまり、プロパンガス物件のガス料金は、ガス会社の言い値になりがちだし、入居者はその言い値を拒否できないということです。
こういった状況をしっかりと踏まえたうえで、物件を選ばれると良いかと思います。
おそらく家賃で見るならば、都市ガス物件に比べて、プロパンガス物件は賃料が少し安いケースが多いでしょう。逆にガス代は都市ガスの方が安くなる。
この「賃料の差」と「ガス料金の差」、そして「自由料金の商品を選べない」という、ある意味理不尽な状況を納得できるか、このあたりをよく検討されてください。
都市ガスとプロパンガスの違いをもっと詳しく知りたい方はこちら