
こんにちは、GASUMOです。
今回は「プロパンガスの料金値上げ」についてのエントリーです。

原油価格の上昇などが値上げの事由と書かれていましたが、どうしたらいいでしょうか?
できれば拒否したいのですが、そんなことは可能でしょうか?
こんな疑問を解決します。
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目次
プロパンガス会社から料金値上げの通知が届く

あなたのお宅にも「ガス料金値上の通知」が届いていると思いますが、参考までに、プロパンガス会社がどのような文書を作っているか、いくつか事例をご紹介しましょう。
いずれも、普通にネットで検索したら見つかる情報ですので、それぞれのガス会社に対して、特別な思いや意図があるわけではないというのを付け加えておきますが、
値上げの理由や、金額はともかく、だれでも見られるように、web上に情報を公開しているという点においては、事業者の誠実さを感じます。
値上げ文書の事例
2025年のプロパンガス料金値上げ事例
2024年のプロパンガス料金値上げ事例
2023年のプロパンガス料金値上げ事例
2022年のプロパンガス料金値上げ事例

武雄ガス株式会社
2021年以前のプロパンガス料金値上げ事例

えびの市農業協同組合
プロパンガスの料金が値上げされる理由

このように、事例をいくつか見てもらえれば分かると思いますが、値上げ事由のほとんどは「LPガス輸入価格高騰により」というものです。
原油価格が上昇している、円安になっている、タンカーの船舶燃料が高くなっている等々、理由はいろいろありますが、
最終的にたどり着くのは「原料の仕入れ価格が高騰しているから値上げさせてね」というものです。逆に言うと、
この理由しかないよね。
という感じでもあるのですが、各社とも、事情、思惑はそれぞれでしょうが、消費者が納得してくれそうな理由は、このくらいしか思い当たりません。
間違っても、「今期は売上を上げたいので、ガスの使用量が増える秋口から、料金を値上げさせていただきます!」とは言えないですよね。
それでは契約者は納得してくれませんから。
輸入に頼るプロパンガス

プロパンガスの料金が値上げされる様々な「事情」・「思惑」について、もう少し詳しく見てみましょう。
まずそもそもなのですが、プロパンガスという商品が、その大半を海外からの輸入に頼っているという状況があります。
だいたい70~80%が外国からの輸入で、残りの20~30%は日本国内の製油所で生産されたものですが、
精製する元となる原油自体も結局輸入しているわけですから、そう考えるとほぼすべて、海外から輸入していると言えます。
ではLPガスは、どこの国から輸入しているのでしょうか?
その内訳を見てみると、かつてはサウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、カタール、クウェートなど、中東産ガス国への依存度が高く、ピーク時は9割を超えるほどでしたが、
いまはそのバランスがかなり変わり、アメリカをメインに、カナダやオーストラリアから輸入するという構図になっています。

出典:プロパンガス輸入元の構成(2022年度実績)-日本LPガス協会
仕入れ価格の高騰
このように精製元となる原油も含めると、ほぼ100%、海外からの輸入に頼っているのがLPガスです。
ですから当然、大元の「仕入れ」の問題があり、ここがプロパンガスの料金が値上げされる要因の根幹でもあります。
つまり輸出国、かつてはサウジアラビアなどの中東国、いまはアメリカやカナダ、オーストラリアなどですが、
こういった国々が「日本に売るLPガスの値段を、もっと高くするよ」といったら、高い価格で買わないといけないということです。
円安・為替の影響

もうひとつ、輸入ですから海外から仕入れるわけで、そうすると、購入するときの「円の価値」というのも、当然価格に影響を与えます。
つまり円安のときは、輸入するのに、よりお金が必要になるということです。
外国為替は日々変動してますが、「1ドル=100円」だったものが「1ドル=150円」になったとしたら、円の価値が下がったわけで、
おなじモノを購入するのに、1.5倍のお金を用意しないといけないことになります。
為替の変動、円安も、プロパンガスの料金が値上げされる要因です。
流通経路が多いほど高くなりやすい

出典:LPガス供給の現状
LPガスが大半を輸入に頼っている商品だというのは先述したとおりですが、最終的に消費者のもとに届くまで、
つまり流通の過程によってプロパンガスの料金が値上げされる、当然そういう側面もあります。
プロパンガスは、「元売」「卸売」「小売」という3つの業者を経て、それぞれの家庭や店舗などに供給されています。
野菜の直売所みたいに地産地消とはいかないわけで、流通の経路が多ければ多いほど、複雑になればなるほど、色々なものが価格に転嫁される可能性が増えます。

元売業者(輸入業者)
プロパンガスの輸入と生産を行う。卸売業者に販売する。
- 岩谷産業
- アストモスエネルギー
- ENEOSグローブ
- ジクシス
- ジャパンガスエナジー
など
卸売業者
ボンベ(プロパンガスの容器)に充填を行う。小売業者に販売する。
- 伊丹産業
- 伊藤忠エネクス
- エネサンスホールディングス
- 日本瓦斯
- TOKAI
- サイサン
- 日通商事
- トーエル
など
小売業者
各家庭にプロパンガスを販売する。
プロパンガスは価格変動の要因が多い

ということでここまで、日本におけるプロパンガスの流通について見てきました。
原油も含めると、ほぼ100%輸入に頼ってるんだから、大元の仕入れ価格は高くなったり、安くなったり、変動するよねと。
当然それと連動するように、卸売業者が輸入業者(元売)から購入する価格も、上がったり下がったり、変動すると。
で最後、一番身近な小売業者の段階でも、ガス屋さんごとにいろんな思惑や事情があるわけで、最終的にプロパンガスが一般家庭などに供給される価格が変動する。
このように、そもそも「価格が変動する要因が多い」というのがまずひとつ。
家庭用プロパンガスの価格変動が少ないのはなぜか?
もうひとつ、上のグラフ(流通段階におけるLPガス価格推移)から見て取れるのは、FOBとかCIFとか卸売価格に比べて、家庭用の価格変動は少ないよねと。
プロパンガスはライフラインだから、なるべく変動が少なく、安定的に供給されたほうがいいよね、というのはあると思うのですが、
そのいっぽうで、仕入れ値の変動に耐えうる値段を付けて販売している、という見方もできると思うのですね。
つまり普段から、ある程度ゆとりのある(十分に利益が見込める)価格で販売していると。そういう側面もあるでしょう。
「相場」のはなし
あとは、プロパンガスは自由料金制だから、それぞれのガス会社が自分たちの好きなように価格を設定して販売していい、という商品なわけですが、その値幅があまりにも大きすぎる。
というのが、やはり無視できない要因としてありまして。
ガソリンの例をよく使いますが、ガソリンが石油税にガソリン税、それから消費税とそもそも税金の塊のような商品(何重で課税しとんねん!!!)だというのはひとまず置いておくとして、
自由価格なので、販売店が小売価格を自由に決めていいわけです。
で、世界の情勢などによって、ガソリンの販売価格も高くなったり安くなったりするわけですけれども、社会全体としての値動きというのがあるわけで、相場みたいなものがあるわけです。
あっちのお店ではリッター183円だったけど、こっちのお店では178円だった。ガソリンスタンドによって値段は違うけど、だいたい相場は180円くらいかなあと。
こういう肌感覚というか、相場感みたいなものは間違ってないし、いいと思うんです。
プロパンガス会社の都合による値上げ

でも、プロパンガスに当てはめたときの相場って、全然ピンとこないわけですよ。なぜなら
販売価格の幅(値幅)が大きすぎるから。
プロパンガスっていう同じ商品が、単価300円で売られることもあれば、単価400円のこともあるし500円の場合もある。
なんなら700円とか800円というケースもあるし、北国のあるお宅で購入してたプロパンガスの単価が1000円を越えていたという、信じられない話を耳にしたこともあります。
単価が違ったら性能だとか燃焼効率だとかも全然違うっていうならまだわからなくもないけど、ガスボンベの中身、一緒ですから。
倍の単価だから2倍よく燃えるとか、ないですから。
おんなじものを単価300円で購入している人もいれば、単価800円で購入している人もいて、で、平均を取って相場は600円ですね、っていわれても。ぽかーんって感じですよね。
ガソリンの180円とは全然違うわけで。
で、結局何が言いたいのってことなんですけれども、プロパンガス会社の都合による値上げ、ここはやっぱり無視できないよね、ということなんですね。
つまり、ガス屋さんの勝手な都合で料金が値上げされてる可能性も、もちろん十分にあるわけです。
自由価格だからそのこと自体はなんの問題もないですし、ガソリンみたいに数円の違いだったらそこまで目くじらを立てることもないわけですが、
単価が100円とか200円とか違っていたら、それを知ってしまったとしたら、きっと我慢できないと思うんですね。
ガス料金の「どの部分」が高くなるのか?

つぎに、ガス会社が料金を値上げします、というとき、ガス代のいったいどの部分が値上げされるのか、というのを見てみましょう。
ガス料金の式は、下記のようになっています。
すごくシンプルな式です。
で、使った量だけかかる従量料金は、
と表せるので、いったん消費税を脇に置いておくと、ガス料金は、
ということになります。
ガス料金が値上げされるときは、基本料金、従量単価、ここが値上げされます。
基本料金

基本料金というのは、ガスを使っても使わなくても、かりに使用量がゼロだったとしても、契約しているだけで毎月かかってくる費用です。
基本料金が1500円だったところを、来月から300円値上げして、1800円にさせてください、というようなケースがあります。
従量単価
ガス料金で値上げされる大半はここ、従量単価。 プロパンガス1m3あたりの価格 ですね。
従量単価が20円とか30円、値上げになるケースが多いです。
すると仮にですが、30円の値上げになったとして、月20m3のプロパンガスを使うとすると、ガス代が600円高くなった、ということになります。
数十円の値上げもバカにならない
プロパンガスを毎月20m3使っていたとして、単価が30円値上げされれば、20立方メートル × 30円で、従量料金は600円高くなる計算です。
基本料金が1500円から1800円になったとしたら、300円の値上げ。
基本料金と従量料金の値上げ分を合わせると、600円 + 300円 = 900円 ということになります。
月々900円の値上げ。
単純計算で年間分に換算すると、900円 × 12 = 10,800円 です。
たかだか単価20~30円程度の値上げかも知れませんが、積もり積もると結構バカにならない額の差が生じてきます。
関連ページ:プロパンガスの適正価格とは?
プロパンガス会社が料金を値上げすることに関する見解

ガス屋さんが料金値上げをすることについて、どう考えているか。
極論を言うならば「別にいいと思う」そう考えています。
ガス会社都合の不当な料金値上げは許さない!というような表現をするときもありますが、
ガス屋さんは価格変動のあるプロパンガスという商品を扱っていて、いくらで販売しようとガス会社の自由なんだから、一面では、べつに構わないんじゃないの、と思います。
自由に商売してるわけですから。
ただ、自社の都合だけで料金の値上げを繰り返していれば、いずれは利用者にバレます。
遅かれ早かれ悟られます。なんかおかしいなって。なんで値上げばっかりなの、値下げしたことないよねって。
そうなったとき、自然に消費者は離れていくことでしょう。そこも自由な経済活動だと思います。
プロパンガス料金の値上げ通知を拒否できるか?

ここが、このエントリーのキモの部分になりますが、ガス会社から料金値上げの通知が来たとき、わたしたちはそれを「拒否」できるのか、そこを見ていきます。
アパート・賃貸住宅のプロパンガス料金が値上げされたら

- 拒否できない
アパートなどの賃貸住宅にお住いの場合、プロパンガス会社から料金値上げの通知が届いたとしても、あなたはそれを拒否することができません。
拒否するもなにも、そもそもアパートの入居者にガス会社を選択する権利はありません。
ガス屋さんから値上げの文書が来たとしたら、それはただの連絡にすぎません。
あなたに確認や了承を求めているわけでもありません。来月から、単価を○○円にしますよ、ただそう伝えていただけ。
賃貸アパートで暮らしている以上、あなたはそのガス屋さんを利用するほかなく、そのガス屋さんの言い値でガスを購入するしかありません。
本当に我慢できないくらいガス代が高いということであれば、プロパンガスの契約自体を解約するか、もしくは別の物件に引っ越す、という選択肢を選ぶことになります。
関連ページ:一人暮らし必見!賃貸アパートのプロパンガス料金が高い理由
関連ページ:ガスモの知恵袋!田舎のプロパンガス代が高いわけ、教えます。
戸建持ち家のプロパンガス料金が値上げされたら

- 拒否できる
持ち家の一戸建て住宅にお住まいであれば、プロパンガス会社から届いた料金値上げの通知を拒否することができます。
拒否というよりは、値上げに納得できないので、お宅を使うのをやめます、別のプロパンガス会社に変更します、そう言える、ということです。
ガス会社が料金を値上げすることについて、極論するなら、別に構わないとおもう、と先述しましたが、
ガス屋さんが自由に値段をつけて販売していい商品なのですから、利用者だって原則、自分が契約するガス屋さんを自由に選んでいいわけです。
一戸建ての家主であるあたなにはその権限があります。
値上げも含めて、そのプロパンガス会社のサービスに納得いかないのであれば、べつの業者に切り替えればいいだけです。
関連ページ:プロパンガスはやめとけ?メリット・デメリットを解説します
まとめ

ということでここまで、「プロパンガス会社から料金値上げの通知が届いたけれど、どうしたらいいの? それって拒否できるの?」ということについて見てきました。
たとえ従量単価にして数十円の値上げであっても、使用量が多ければ意外とバカにならない金額になってきますし、
それが長い期間続くとなると、じわじわとボディーブローのように家計にも影響してくるでしょう。
加えてもうひとつ言えるのは、料金が値上げされることはよくあるけど、なぜか値下げされるケースは少ないということ。
輸入される原油価格は変動しています。変動しているということは波のように、高いときもあれば、安いときもあるということです。
高いときに値上げするのであれば、安くなったら値下げしてほしいところですが、どうもそうなってない。販売価格の変動が、値上がりの一方通行になりがちだという事実があります。
とはいってもです、私たちは自由な経済活動をしているわけで、ガス屋さんも商売をしているわけで、
LPガスという自由料金の商品を、だれにいくらで売ろうと、いつ、いくらの値上げをしようと、それはガス会社の自由です。
ですから、料金値上げの通知を受け取ったうえで、どうするか、判断すればいい。
アパートなどの賃貸の場合は、残念ながらガス料金に関しては「選択権なし」です。
ああそうですか、ということで値上げを受け入れて、業者の言い値で買うしかない、もし嫌ならプロパンガス自体を解約するか、べつの物件(可能なら都市ガス物件)に引っ越すしかない。
戸建の場合は拒否できます。拒否というか、値上げに納得いかないのであれば、納得できる別のガス会社に変更すればいいだけです。
ガス屋さんは自分たちの好きなように値段を決めて販売するのですから、あなたも自分が購入するガス会社を自由に選ぶ。とても自然なことですね。
関連ページ:高いガス会社・プロパンガス料金の見直しならGASUMO
アパートか、一戸建てか、住まいの居住形態によって、取りうる選択肢は異なります。
ぜひ状況に合わせて、ベストな選択をしてください。












